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「雑に作る ― 電子工作で好きなものを作る近道集」を読みました。
どうも。Reoです。「雑に作る ― 電子工作で好きなものを作る近道集」を読みました。
本を読んだきっかけ
以前、ラズパイPicoWを触ってみたくて「ラズパイPicoWかんたんIoT電子工作レシピ」を一読しました。
次に何をしたらいいんだろう〜、なんで電子工作って作品っていうんだろう〜とかを調べている時に、著者の1人である石川大樹さんのブログ記事「電子工作を趣味にすると何ができるようになるか(+電子工作のはじめかた)」に辿り着きました。この記事が面白く、本書も気になったので読み始めました。
本書の構成
石川大樹さんとギャル電さんと藤原麻里菜さんの3人の著者によるオムニバス形式で書かれています。
次のように章立てされています。
1章: 電子工作はこんなに雑にやっていい
2章: とりあえず買っておくといい部品たち
3章: カイロや電気についてもう1歩だけ知ろう
4章: 電子回路以外の工作テクニックもおさえたい
5章: どんどん作るためのマインドセット
6章: 完成・発表までは勢いで突き進む
1章は以下のように構成されていて、各セクションは次のように書き手が違います。
1章 電子工作はこんなに雑にやっていい
- サンプルコードは神からの贈り物 (藤原さん)
- 最低限学ぶ (ギャル電さん)
- マイコンもセンサーも使わずに作る(石川さん)
- 自分だけのマシーンを作るアイデア(藤原さん)
- とりあえずの想像図、完成図(藤原さん)
- 雑工作のマイメン(ギャル電さん)
- むずかしい電子工作なしの作品作り(藤原さん)
- 危険な目にあわないために(石川さん)
- よくある失敗(ギャル電さん)
1つ1つのセクションが5-10ページ程度で写真やイラストも多いのでさくさく読めました!
電子書籍版
電子書籍版はAmazonとDMMで探しましたがなかったので、オライリーのサイトより購入しました。
一読してみて
読みながらこの本はバイブルにしよう、と思いました。
[ 1 ] 聖書。キリスト教の聖典。 初出の実例「一冊の『バイブル』を読むの外に」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉三)
[ 2 ]〘 名詞 〙 転じて、ある分野で権威ある書物。また、個人が常に人生の指針として読み返す一冊の本。 https://kotobank.jp/word/%E3%81%B0%E3%81%84%E3%81%B6%E3%82%8B-3164038
電子工作に限らず、ものづくりにおいて、いつでもこの「雑に作る」ところに立ち返りたい。そう思うことのできる一冊でした。常に人生の指針として読み返す一冊!です!
「雑」は褒め言葉
本書における「雑」は褒め言葉です。
自分的には多分マイナスな言葉だったんですよね。正直言われて嬉しい言葉ではないし。
それに、電子工作という電気を扱うものに対して、「雑」なんて危ない!という思いもありました。そんな自分に、本書の内容は結構効きましたね。
本書では「雑」でもこれだけは守ってねという内容もちゃんとあり、著者の失敗談もあり、100円ショップのものを改造してみよう(第3章「分解」は電子工作の基本より)なんてセクションもあり...あっという間に読み終えました。
本書で出てきた作品たちは、何故かどれもワクワクしちゃうんですよね。それがなんとなく悔しいんですよね。雑でいいはずがないと思っちゃうタイプなのに、その雑を謳った作品にはワクワクしちゃう。くぅ。
電子工作にマイコンはなくてもいい
電子工作にはラズパイやArduinoといったマイコンありきで考えていた自分がいました。
マイコンに繋いで、パソコンから給電してLチカをしたことはあったけれど、もっとシンプルに電池に繋いでLEDを光らせたことがないことに気づきました。
そっか〜〜〜〜
ギャル電さんの文章が好きすぎる
本書で1番好きなセクションは第1章の「雑工作のマイメン」です。ギャル電さんが書かれています。
ギャル電の場合のマイメン
最初は何かを作るごとに毎回必要な道具を買い足しながら、「自分が使いやすいな」って道具や材料を増やして、マイメンを探していこ!
p37 より
最初からいい道具を買ったほうがいい?
最初からいい道具でやったほうがよいかの問題もあるけれど、基本は自分がほしいなって思ったときに買ったらオッケー!値段は安くても、だいたい作業できててストレスなければそれでいいじゃん。
p39 より
良すぎるんですよね。
マイメンのアップデート
自分の電子工作のスタイルがわかってくると、もっと使いやすい道具がほしくなることがある。作業するときに「なんかこれ苦手だな」って感じたら、それはアップデートのチャンス!
p40 より
本当に良い。
もはや電子工作も関係ないんですが、これキャンプ道具とかバイクの装備とかの買い物でいつも迷っちゃうけど、この言葉を思い出して買い物しよ...って思いました。
もうこのセクション全ページ貼りたいぐらいに気に入ってます。自分も色んなジャンルでマイメンまとめてみようかな。
手が止まってしまった人たちにオススメ
本書は特に初心者に向けて「2冊目に読む本」として最適なように作られているそうですが、私はむしろ原点に立ち返るために、ものづくりが好きなんだけど手が止まってしまった人たちにオススメしたいです。
雑を作り続けること
本書を読み終わったのは数ヶ月前だったりするんですが、最近でも「雑な作品」についてたまに考えます。
本自体はバイブルにしたいと思っているんですが、雑に作るスキルを自分のモノとするのは難しいよなと思います。「雑な作品」でもいいんだよって言われたいけれど、「雑な作品」を作りたいわけじゃないなって思ってしまうし。
なぜ、作品を雑に作る必要があるのだろうか。すべての作品は丹精込めてていねいに作られるべきではないか?いや、実はそんなことはないのだ。
...
長い期間かけて立派な作品を作るのではなく、3日で雑な小品を1つ作る。気軽に始めて、飽きる前におわらせるのだ。そうすればあなたの作品集に1つ作品が増える。そしてそんな雑な作品をどんどん作り続けるうちに、いつのまにかあなたはいろんな電子部品の使い方を覚え、複雑な機構も組めるようになり、大作を作り上げるだけの実力を手に入れていることだろう!
p3「 はじめに」 より
本書の「はじめに」に書いてあるとおり、初心者には「雑に作る」ことでとにかく手を動かし続けることは非常に重要です。
ですが、その大作を作り上げるだけの実力がある状態になった人が、雑に作ってそれを作品として公開することって結構難しくはないだろうかと考えてしまいました。作れば作るほどできることが増えて、ていねいに作ったモノじゃないと公開したくないなんて気持ちが芽生えてしまわないでしょうか。自分は芽生えて花咲いています。
私はプログラミングを何年もやっているけれど、1番長く扱っている言語(Swift)ほどキレイにコードを書かなきゃと思ってしまうし、ていねいに作られたアプリじゃないと公開できないと思ってしまうんですよね。
雑に作ったものを継続して公開し続けることは本当に難しい。特にそれを一度仕事としてしまったら、「雑に作って公開する」ことはどんどん難しくなってしまいました。製品が雑なのはマズイわけで、その製品を作っている人が雑な何かに作って公開するのって本当に難しいです。
どうしたもんかねってまだ考え中ですが、雑に作ったもの自体は存在しているので、どんな評価をされようとも、公開していく力を持ちたいです。
おわりに
「雑に作る」は何度でも読み返したい1冊になりました。いい本に出会えてよかったです。
電子工作に関しては、前回PicoWの本を読みましたが、次はマイコンなしの電子工作をやってみようと思っています。最近ハンダゴテとマイコンなしのハンダゴテで作る電子工作キットも買ってみたので、それに挑戦する予定です。
ブレッドボードとジャンプワイヤーの仮組みしたものはすぐに解体してしまうだけだったので、ハンダでしっかり取り付けて常駐するものを完成させたいです。自分は作ったものに愛着を持ってしまうタイプなので、使い続けられるものを作りたいです。作ったら紹介します。
ではでは!
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